鹿の王

アニメ,漫画にもなった「精霊の守人」の著者,上橋菜穂子のファンタジー小説.他には「獣の奏者」が有名.有名なのは知っていたが,子ども向けのイメージが強かったため今までどの作品も読んでいなかった.

物語は二人の主人公,戦士のヴァンと医者のホッサルと疫病を軸に進んでいく.面白かった.こういう小説を良くできたファンタジー小説というのだろうか.

まず,とても読みやすい(これは子ども向けだから当然か?).そして,広がりのある世界観,登場人物の暮らしが手にとるように分かったり,国境の様子などが想像できる.また,丁寧に各国の関係,宗教と技術,歴史が設定してあり,随所で語られるため,まるでどこかの国の歴史的出来事をもとに書かれたような感覚になる.政治的なところも記述してあり,様々な人の思惑が交錯して物語が進んでいく.適度なこの先どうなっちゃうの感があり緊張感が続きよかった.ファンタジー小説ではあるが,現実世界にもあてはまる医学的記述や生物学的記述もあった.これもリアリティを付加する要素なのかもしれない.

そんなこんなで,文庫本2冊分であるが長さを感じさせなかった.子どもが読んでも楽しめるが大人でも楽しめるだろう. 確か実家に精霊の守人シリーズと獣の奏者シリーズがあったので,今度読んでみようかな.

鹿の王(上下合本版)<鹿の王> (角川書店単行本)
KADOKAWA / 角川書店 (2014-09-25)
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