人は何故不正をするのか?どのような状況で不正が行なわれやすいのか?という問いを考える本.

不正をする理由は経済的動機である.しかしながら,経済的動機のみで不正をする分けではない.それは,報酬が大きくなっても不正が増加しない(他の条件は同じ)という実験結果が示している.これは我々は自分を正しい人間だと思いたい心理的動機があるからである.よって,自己を正当化しやすい状況では不正が発生しやすくなる.先の例では報酬が大きくなると自己の正当化が困難になるから.

どんな状況で自己を正当化しやすくなるのか.道徳心から離れているとき.利益相反.疲れているとき.軽微な逸脱行為を行ったとき.知り合いが不正をしているとき.

また,他人に対する不正だけでなく,自分を欺く,自己欺瞞も同様に無意識に行なってしまう.

「自分の望ましいとは言えない行動が,本当は何によって引き起こされているのか,それをよりよく理解すれば,自分の行動をコントロールし,結果を改善する方法を見つけられるようになる.」

人間は複雑なように見えて,案外単純に見えて興味深い.